書評・読書記録

「創造と狂気 ウォルト・ディズニー」を読みました。

ウォルト・ディズニーをイメージといえば、髭をたくわえた優しそうなおじさんを思い浮かべるのではないだろうか。

ウォルト・ディズニーは言わずと知れた、アニメ、映画、ディズニーランドと世界一のエンターテイメントを築き上げた、アメリカの巨匠である。

彼がいかにして世界から愛されるディズニーアニメを作り、ディズニーランドを作ったか。

幼少期の環境から亡くなるまでの壮絶な人生が、618ページからなるボリューム(読後はこれでも足りないと思わせる濃い内容)で描かれている。

オズワルド、ミッキーマウス、ドナルドダックなどキャラクターの作成秘話、音楽やディズニーランドへの異常ともいえるこだわり、ディズニー好きだけではなく、エンターテイメントやクリエイターの世界を志す人にもオススメしたい。

著者紹介【ニール・ゲイブラー】

著者のニール・ゲイブラーはノンフィクション作家・伝記作家であり、本書は伝記作家として初めてディズニー社のすべての資料の閲覧を許可された著者が、7年かけて膨大な資料を徹底的に調べ上げた作品である。

また、本書にあたって当初は「ウォルト・ディズニーについて肯定的に紹介するという条件など、山のような条件や制限を課せられて当惑しきっていた」とあったが、ディズニー社で広報担当副社長を務めていたハワード・グリーンの協力により、最終的にディズニー社の検閲を受けずに執筆された。

これにより美化されたイメージのウォルト・ディズニーではなく、人間ウォルト・ディズニーが描かれている。

本書の読みどころ!

ミッキーの生みの親は強引で尊大で妄想家?

序盤は少々退屈な展開が続く。

ウォルトにとっては重要な幼少期の体験だが、ディズニー社の隆盛やアニメとは直接関係のある展開ではないので、ここは退屈でも我慢して読み進めてもらいたい。

しかし、少し読み進めていくと、オズワルドの誕生と剥奪からミッキーマウスの誕生、そしてディズニー社の隆盛がお馴染みのキャラクターや作品とともにテンポ良く進んでいく。

ウォルトがもたらしたアニメーションが当時いかに革新的だったか、先駆者としての勢いと苦悩が描かれている。

また、ウォルトとチャップリンの意外な繋がり白雪姫やピノキオなど誰もが知っている作品の作成秘話も見逃せない。

アニメーションと音楽の融合

そして、ディズニーアニメと切っても切れないのが音楽である。

あの魅力的でわくわくするディズニー音楽の土台には、ウォルトがクラシック音楽とアニメーションを融合させる構想を持っていたから出来上がったのである。

そして、日本ではディズニーと音楽といえば、ウォルト・ディズニー生誕100周年を記念して、2002年からディズニー映画の曲目からなるディズニー・オン・クラシックが開催されている。

中でも「美女と野獣」と「アラジン」は人気が高いようで、これまでにそれぞれ3回もメインテーマに選ばれている。

会場では、オーケストラが演奏する後ろのスクリーンにはアニメ映像も流れるため、ディズニーの世界観をオーケストラの生演奏でフルに楽しむことができる。

私も実際にチケットを取って行ったことがあり、最高の思い出となった。ディズニー音楽が好きな人は一度は行ってみて欲しい。

ディズニー+に加入すると、ディズニー・オン・クラシックの過去の開催を9作品も見ることができるのでお勧めだ。

このディズニー音楽もディズニーがもたらした新しい芸術といえるだろう。

おわりに

ディズニーの楽しげなイメージからすると意外かもしれないが、この夢と魔法の世界を作り上げた原動力は、想像を実現させるための支配欲ではないかと思う。

ウォルトは他人を動かす熱意と行動力、そして異常なまでのこだわりがあった。

そのパワフルさは多くの反発や敵を作ったが、出来上がったものはそれ以上に世界中の人々を楽しませている。

躁鬱を繰り返し、最期は病により死に怯え亡くなるところまで描かれた人間ウォルト・ディズニーの決定版と言えるだろう。

・書籍情報
『創造と狂気 ウォルト・ディズニー』
ニール・ゲイブラー(訳:中谷和男 ダイヤモンド社)




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