前回は定期同額給与について学び、役員は事業年度の途中で自由に給与を動かせない事がわかりました。
それでは、役員がボーナスを受け取りたい時はどうでしょうか。
実は役員の場合、賞与・ボーナスについても一定の制限がかけられています。今回は、役員の賞与・ボーナスにも使える「事前確定届出給与」について紹介します。
事前確定届出給与とは
事前確定届出給与は、要約すると下記のように定義されています。
事前確定届出給与とは、その役員の職務につき所定の時期に、確定した額の支給される給与で、定期同額給与及び業績連動給与のいずれにも該当しないものをいいます。
No.5211 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)
例えば、役員に対しても8月と12月に賞与を出したい場合、事前確定届出給与に関する届出を提出する事で、役員に対する賞与も損金の額に算入することができます。
また、非常勤の役員や会計参与は、年に数回だけしか報酬を支払わないケースもあります。このような場合、定期同額給与に該当しないからといって、支払った報酬等が損金不算入となってしまうのは現実的ではありません。
事前に届け出をすることで事業年度の中途における利益調整を防ぎつつ、定期同額給与以外の報酬の支払い形態に対応する方法として、事前確定届出給与があります。
事前確定届出給与の提出期限
事前確定届出給与の提出期限は、下記のように定められています。
株主総会等の決議をした日から1月を経過する日。
「1月を経過する日」とは、5月25日に株主総会があった場合、6月24日が提出期限となります。
その他、新設法人の場合や、臨時改定事由により新規に役員になった場合などの例外はリンク先を確認してください。
まとめ
事前確定届出給与について、よく問題となる事案があります。
それは、事前の見積もりや業績の急激な悪化により、事前確定届出給与の額を支払えない場合です。
この場合については、また次回の記事にしたいと思います。
とにかく、事前確定届出給与を出す場合には、現金預金に余裕を持って決めるようにした方が良いでしょう。