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【職業としての小説家】村上春樹、ノーベル賞受賞なるか!?

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毎年、この時期になると「村上春樹、ノーベル文学賞最有力!」などというニュースを目にし、季節の風物詩となってきた話題。

実際に村上春樹氏自身はノーベル文学賞をどう思っているのか。

それについても触れられている自伝的エッセイ「職業としての小説家」を取り上げたいと思います。

村上春樹は何故ノーベル賞を受賞できないのか

村上春樹といえば、著作が世界的に翻訳されて、世界中に読者いることは周知の事実でしょう。

そして、海外のブックメーカーの予想では常に上位にランクインしているのに、何故かノーベル文学賞が受賞できない。

それは何故か。

2015年の受賞者はチェルノブイリを取材し続けたジャーナリストのスヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチ氏です。

近年の受賞者を見ると、著者に政治的な背景やきっかけがあったりする人が多いようですね。

ノーベル文学賞の設立経緯は以下のように書かれています。

ノーベル賞の構想時にも、科学だけでなく文学も人類にとって重要であると認識し、遺言の中で「理想的な方向性の (in an ideal direction)」文学を表彰の対象に含めた

たしかに、村上春樹の作品に影響を受けた読者は計り知れない数いるでしょう。

しかし、一方で次のような指摘もあります。

村上春樹は、1995年に起こった阪神淡路大震災とオウム真理教による地下鉄サリン事件を契機に、大江が言う「(社会に対して)能動的な姿勢をとらぬという覚悟」と同じ意味の「デタッチメント(社会的無関心)」であった文学傾向を転換させ、今後は「コミットメント(社会との関わり)」を主題にした作品を書く、と宣言していたのである。

村上春樹のノーベル賞落選が「既定の事実」だったホントの理由

社会との関わり、方向性を示すような作品が出来たのは割りと最近なのですね。

とはいえ、村上作品には暴力に対する闘いが背景にあることが多く、上記の理由が完全に当てはまるわけではなさそうだとも思います。

強いて言えば、政治的や世界に与えるインパクトが足りないのでしょうかね。

ここでは、そのような議論は避けまして、本題の「職業としての小説家」の紹介に入りたいと思います。

小説好きなら絶対に欲しい、村上春樹の思考を読み解く一冊!

帯買いしそうな絶妙な紹介文!

まず、帯の紹介文からご覧下さい。

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「これは村上さんが、どうやって小説を書いてきたかを語った本であり」

(背景を読み解くにも知りたい)

「小説を書こうとしている人に具体的なヒントと励ましを与えてくれることは言うに及ばず」

(小説好きならいつかは自分も書いてみたいと思ったことはあるはず)

「何よりもまず、べつにこのとおりにやらなくてもいいんだよ、君は君のやりたいようにやるのが一番いいんだよ、と暗に示してくれることによって」

(あれ?先ほどのノーベル文学賞が受賞できない理由にも繋がってる?)

この帯だけで十分に村上春樹について知りたい人の購買意欲をそそる内容だとわかりますね。

気になって仕方ない目次!

さらに目次は以下に様になっています。

  1. 小説家は寛容な人種なのか
  2. 小説家になった頃
  3. 文学賞について
  4. オリジナリティーについて
  5. さて、何を書けばいいのか?
  6. 時間を味方につけるー長編小説を書くこと
  7. どこまでも個人的でフィジカルな営み
  8. 学校について
  9. どんな人物を登場させようか?
  10. 誰のために書くのか?
  11. 海外へ出て行く。新しいフロンティア
  12. 物語のあるところ・河合隼雄先生の思い出

注目は「文学賞について」ですね。

ここには、芥川賞とノーベル賞についても触れられています。

エッセイは小説と違って当たり前ですが難解なところはないので、村上春樹という人物が気になる人は是非読んでみてください。




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