ビヨンド・ミートは、植物由来の肉を提供する食品会社です。
いわゆる代替肉と呼ばれているもので、日本だと大豆を使った大豆ミートの方が馴染みがあるかもしれません。一方、ビヨンドミートの原料は、主にエンドウ豆で作られており、そこにココナッツオイルや香料などで脂と肉の風味を補っているようです。
代替肉は、畜産に比べて水や温室効果ガスが少なく済むため、環境に優しく注目の技術となっています。
2019年5月にNASDAQ市場に新規株式公開し、ビル・ゲイツが主要株主となっていることでも注目されています。
代替肉の市場規模
ビヨンド・ミートはエンドウ豆で作られた植物由来の代替肉を生産しています。この植物由来の代替肉というのは、どれぐらいの市場規模なのでしょうか。
市場調査会社のジオンマーケットリサーチ(Zion Market Research)の推計によれば 2018 年に 119 億ドルだった植物肉の世界市場の規模は、 2025 年には 212 億ドル(成長率 78%)になるとしています(出典:日本経済新聞 2019 年 9 月 6 日)。
また、シード・プランニング社の資料によると、2020年の植物由来の代替肉の市場規模は、世界で110億ドル、日本で346億円としています(2020年6月9日リリース)。
これを見ると、植物由来の代替肉市場は、2018年から成長していないのではないか、という疑問も生まれます。
ただ、後述しますが、ビヨンド・ミート社の売上を見ると確実に伸びており、市場が縮小したり伸び悩んでいるということもなさそうです。
市場規模の予測は、かなりのズレがあるのかもしれませんね。
というのも、ビヨンド・ミート社は上場して注目を集めましたが、代替肉に取り組む企業は乱立しています。
同じくアメリカの大手では、ビヨンド・ミート社がマクドナルドに提供したのに対して、インポッシブル・フーズ社がバーガーキングに提供しているようです。
また、代替肉市場は、植物由来のものに加えて細胞組織を培養した培養肉、代替タンパク質という括りでは昆虫食などもあります。
中でもアメリカのイート・ジャスト社は、2020年12月にシンガポール政府から培養肉の販売許可を受け、動物細胞から培養した肉を販売する世界初の企業になっています。
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日本でも2017年から東京大学と日清食品グループで培養肉の共同研究をしています。
当然、日本も植物由来の代替肉市場に参入しており、マルコメ、大塚食品、伊藤ハム、日本ハムなど多くの企業が既に販売しています。
さらには、ニチレイフーズ、味の素、丸紅など名だたる企業が出資したスタートアップ企業のDAIZも注目の的です。
今後、環境面や健康面から植物由来の代替肉は確実に伸びていくでしょう。
業績
売上高
コロナ禍においても、やや鈍化しているものの売上高は伸びています。
21年のコンセンサスは465百万ドルです。第3四半期の時点で364百万ドルなので、ペースとしてはギリギリ達成できるかどうかです。
興味深いのは、まだ新鋭の企業のイメージですが、海外収入が114百万ドルあり、31%を占めていることです。
外食産業や小売に販売網を持っていることで、2020年12月の時点で世界80カ国以上の約122,000店舗で販売しているようです。
先述したように、日本は既に大豆ミートなど大手企業が参入していますが、近いうちにビヨンド・ミート社の製品も入ってくるかもしれませんね。
当期純利益
赤字続きです。
特に2021年の赤字は大きく、年初から株価を大きく下げる要因となっています。
配当
配当は現在のところ出ていません。
株価推移
上場来のビヨンド・ミート社の株式チャートです。
上場後すぐに株価が4倍になり、2ヶ月で元値に戻り、その後も振れ幅の激しい値動きをしています。
株価は現在64.51ドルと、今年の高値から70%近く下落しています。
上場と同時に買ったと思えば手頃な値段ですし、下落トレンドが続くと見れば買えず、判断に迷う所です。
ビヨンド・ミート株が魅力的な理由
ビヨンド・ミート社の株価は、上場来安値に迫る価格で推移しています。
コロナ再拡大により、予想より売上や利益が上がらなかったのが要因のようです。ただし、赤字の要因の一部は、設備投資拡大による減価償却も含まれているようです。シェア争いをしている現在では、設備投資の拡大は必須です。
また、株価自体が右肩上がりで推移しているわけではないため、株価が売上に連動しているわけではありません。
もし、他社にシェアを奪われたり、思った以上に市場が拡大しないなどすれば、さらに大きく下がる可能性もあります。
一方で、このまま売上の拡大に伴い株価が連動すれば、一気に上昇する可能性も十分秘めています。
市場調査会社エヌ・ピー・ディ(NPD)の調査によると、アメリカの消費者の16%が「定期的」に植物性代替食品(代替肉やアーモンドミルク等)を消費しています。そして、そのうちの89%の消費者はベジタリアンやビーガンではないと回答しています。つまり、一般的な消費者が食事の選択肢の一つとして代替食品を選んでいるのです。「アメリカで急成長する代替肉市場」
植物由来の代替肉市場は競争が加熱していますが、ビヨンド・ミート社には先行者利益があります。
もちろん、技術が成熟していない代替肉市場では、後発者が一気に抜き去る可能性も否めません。
市場自体は拡大傾向にあるのは間違いないので、ビヨンド・ミート社も含めて代替肉関連の企業には少額で複数社の出資をオススメしたいと思います。