顧問先を何件も抱えていると、数年に一度は「こんな書類が来ました」と扶養控除の是正に関する通知をもらいます。
いわゆる「扶養控除等の見直し」についてです。
大抵は、パートで働いている配偶者の方が働きすぎて扶養の範囲を出てしまうことが原因です。
扶養控除の是正自体は、簡単な書類です。
しかし、何故、扶養控除が外れるまで働いたのがバレてしまうのでしょうか。
給与は税務署に把握されている!
給料は会社によって源泉徴収票が作成されますが、税務署への提出義務は、「法人の役員で支払金額が150万円を超えるもの」「給与等の支払金額が500万円を超えるもの」などに限られています。
それなのに、税務署は扶養控除が外れたかどうか把握しているようです。
これは、住民税の計算のため、役所へ全ての従業員の給与支払報告書が提出されていることと関係あるようです。
扶養是正情報等データと調べると、
「地方税当局から国税当局への情報連携としては、地方税当局に提出された給与支払報告書等により把握された所得控除や合計所得金額 の変更に係る情報(扶養是正情報、申告漏れの収入情報、無申告情報の提供)などが実施されている」
と出てきます。
つまり、会社が住民税のために自治体へ給与支払報告書を提出すると、自動的に税務署へもその情報が提供されているわけなのです。
そのため、税務署から「扶養控除等の見直し」の通知が来た場合には、ほぼ間違っていないと考えてようでしょう。
「扶養控除等の見直し」が来たらどうすればいい?
「扶養控除等の見直し」が届いた場合、配偶者や扶養親族が源泉徴収票を持っている場合には、それを確認することから始まります。
しかし、源泉徴収票を無くしてしまったり、本当は扶養の範囲内にも関わらず手違いで届くこともあります。
その場合には、扶養控除の是正の対象となっている配偶者や扶養親族に、市区町村の役所で課税証明書を取ってもらいましょう。
なお、課税証明書の取得をするときに、気をつけることが1点あります。
「年度」と「年分」の違いです。
例えば、令和4年度の課税証明書は、令和3年の所得金額を証明するものです。
従って、記載用紙を良く読まずに記入すると1年ズレた課税証明書が発行されることがあるのです。
これに気を付けて、対象となっている年の課税証明書を取得したら、扶養控除・配偶者控除が外れるか、配偶者特別控除に該当するか、再計算をします。
そして、追加で支払う納付金額を同封されている納付書に記載し、納付します。
それと同時に、回答書に、どの金融機関でいつまでに納付するなどの情報を記載して、税務署へと提出します。
・役所で課税証明書の取得
・所得を確認後、年末調整の再計算
・該当している従業員から徴収
・回答書に納付額と納付日を記入して税務署へ提出
・納付
以上が、流れとなります。
詳しくは以前の記事のコチラをご覧下さい。
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扶養控除等の是正があった場合の給与支払報告書の訂正
社員の扶養親族がアルバイトや他に収入があったため扶養控除を外れるなどした場合には、税務署から「扶養控除等の見直しについて」というお尋ねが送付されてくることがあります このような場合に、税務署に回答や納 ...
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きちんとした会社ならアルバイトでもパートでも、給与支払報告書が提出されているため、扶養から外れているか自治体は把握しています。
二度手間にならないように、年末調整の段階で配偶者などの所得は正確に把握しておくようにしましょう。