日経新聞よリ「中小に淘汰の波、23年上期倒産4000件 人手不足響く」という記事に注目。
中小企業に淘汰の波が訪れている。東京商工リサーチが10日発表した2023年上期(1〜6月)の倒産件数は前年同期に比べ3割増え、上半期としては20年以来、3年ぶりに4000件台となった。人手不足にエネルギー高が重なり経営を圧迫した。一方、中小全体でみれば、設備投資を増やす動きもある。新型コロナウイルス禍で借り入れた資金の返済が本格化するなか、競争力格差が広がりそうだ。
ここからは有料版となるが、ざっとまとめると以下のような内容だ。
・上半期の飲食業の倒産件数は424件と過去最多
・競争激化、物価高、人手不足が原因
・ただし、コロナ禍前の年間倒産件数は概ね8,000件前後
・コロナ禍の資金繰り支援による延命措置が切れただけとも言える。
・中小企業全体で見れば、設備投資計画は増えている
一見、不安を煽るような見出しだが、よく考えれば倒産件数の増加はコロナ禍前と比較すれば自然な件数でもあると言える。
コロナ禍で政府は、実質無利子・無担保融資を数多くしてきた。
現在、人の流れが戻ってきて、新規出店も増えることから当然競争も激化するし、融資を受けても回復できなかった企業は淘汰される。
コロナ禍前の年間の倒産件数は8,000件前後であり、23年の上半期が4,000件台なら、コロナ禍前と変わらない企業の新陳代謝が行われれていると考えても良い。
一方で、私が気になるのは、倒産ではなく廃業だ。
倒産の定義は、いわゆる「第三者への弁済しなければならない債務が弁済できなくなった状態」をいい、下町の工場などが社長自身の資金で持ち出しているような状態は含まれていないはずである。
私の顧問先では、そういう幾つかの企業が社長の高齢化や物価高を機会に、無理して継続する理由もないと清算した会社があった。
このような会社は、景気が良い時は社長やその家族が給料を多めに取り、景気が悪くなると持ち出しや年金で生活費を補填したりしている。
また、インボイス制度の導入により、売上1,000万円以下の会社は、税負担も増えてしまう。
といっても、2割特例を使えば売上700万円で年間14万円程度だ。
手間や事務負担は私が請け負うのでほぼゼロだが、年金をもらっている年代の社長にとっては、ちょっとしたきっかけにはなってしまう。
インボイス制度自体は反対しないが、これだけ混乱を生むなら最初から導入してくれよとは思っている。
しかし、このように倒産や清算する企業が増える一方で、中小企業の設備投資計画は増えている。
コロナ融資切れや高齢化・物価高が進み、そろそろ本格的に中小企業も再編・淘汰の時代を迎えたのかもしれない。
昔ながらの企業も大事にしつつ、今後は積極的に若い世代が続々と起業して、次々と新陳代謝されるのに期待したい。