相続税

倍率表の市比準って何?倍率方式による評価方法

都市部の相続税評価をしていると見かけることは少ないですが、地方や別荘地などの評価をする際には出てくる倍率方式の土地評価。

その中でも「市比準」という文字を見かけることがありますが、これはどのような意味でしょうか。

確認してみましょう。

相続税の土地の評価方法は2つ!

相続税の土地の評価方法は大きく分けて2通りあります。

一つは路線価方式、もう一つは倍率方式です。

路線価方式

路線価(その道路に面している宅地の1㎡当たりの価額)が付された地域の宅地を評価する場合には、次の計算方法により評価します。

路線価×地積

ただし、この宅地の間口や奥行距離、接する路線の数、宅地の形状によって補正率などを掛ける必要があり、計算が複雑になっていきます。

さらに、この宅地が貸地なのか宅地の上に貸家が建っているかなどで、ますます計算が複雑になっていきますが、今回のメインではないので割愛します。

倍率方式

倍率方式とは、固定資産税評価額に国税局長が一定の地域ごとにその地域の実情に即するように定める倍率を乗じて計算した金額によって評価する方式を言います。

評価算式

固定資産税評価額×倍率

固定資産税評価証明書を各自治体で取得し、国税庁のサイトにある倍率表があれば簡単に計算することができます。

倍率方式による山林の評価方法

さて、倍率方式で計算しようとした場合に、以下のような表記が見られます。

ここでは山林を例に取ってみましょう。

倍率が書いてある場合

1.純山林

純山林とは、通常の山林を言います。

黄色のマーカーで囲まれた上から2番目をご覧ください。

純13と書いてあります。

「純」は純山林を表し、「13」は倍率を表しています。

したがって、この地域の山林の評価方法は

固定資産税評価額×倍率(13)

となります。

2.中間山林

中間山林とは、市街地付近又は別荘地帯等にある山林を言います。

黄色のマーカーで囲まれた下から3番目をご覧ください。

中50と書いていあります。

「中」は中間山林を表し、「50」は倍率を表しています。

したがって、この地域の山林の評価方法は

固定資産税評価額×倍率(50)

となり、当然純山林より評価額は高くなります。

比準と書いてある場合

3.市街地山林

市街地山林とは、宅地に介在する山林、市街化区域内にある山林などを言います。

黄色のマーカーで囲まれた赤と青のラインに比準と書いてあります。

ここが市街地山林です。

比準と書いてある市街地山林は2つの評価算式があります。

(1)原則

(山林が宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額-1㎡当たりの造成費相当額)×地積

(2)市街地山林としての倍率が与えられている場合

固定資産税評価額×倍率

なお、宅地への転用が見込めないと認められる場合は、純山林と同様に扱います。

それでは「山林が宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額」はどのように求めればよいでしょうか。

宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額

赤のラインの宅地には「1.1」とあります。

この場合、近隣の宅地の路線価がわからないため固定資産税路線価により宅地の評価を算出する必要があります。

近隣宅地の固定資産税路線価×地積×1.1

もしくは

近隣宅地の固定資産税評価額×1.1

が市街地山林の1㎡当たりの価額となります。

運良く近隣宅地の評価証明書があり固定資産税評価額がわかれば良いのですが、不明な場合には固定資産税路線価に地積をかけることで固定資産税評価額を算出します。

固定資産税路線価は「全国地価マップ」により調べることが出来ます。

ただ、実は該当する市街地山林の評価証明書を取得するときに「宅地評価した1㎡当たりの金額を教えてください」というと備考欄に金額を記載してくれる自治体もあります。

 

一方、青のラインの宅地には「路線」と書いてあります。

路線価×地積(補正率等を調整したもの)

が市街地山林の1㎡当たりの価額となります。

1㎡当たりの造成費相当額

では、造成費相当額はどのように算出するのか。

というと、これも国税庁のサイトに下記の表のように掲載されています。

国税庁「路線図・評価倍率表」→該当する都道府県→「宅地造成費の金額表」

これにより、整地費用や土盛費用まで国税庁が見積もった金額が掲載されているため簡単に算出することができます。

実際の表では、この下に傾斜度による減額など、まだまだ記載されています。

市街地山林の評価額の決定

「山林が宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額」と「1㎡当たりの造成費相当額」が算出できたら、「市街地農地等の評価明細書」に当てはめてることで、市街地山林の評価額が決定します。

国税庁「市街地農地等の評価明細書

倍率地域も簡単のように見えて、なかなか奥が深く注意が必要な論点です。

山林は傾斜度によっても減額があるので、山林の面積や規模によっては不動産鑑定士に頼んだり実際に土地を確認することが大変重要です。




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