PDCAサイクルって知っていますか?
経営を少しでもかじった事がある人は聞いたことがあるかもしれません。
カリスマ経営コンサルタントとも言われる著者が、現場に即したPDCAサイクルの秘訣について教えてくれる一冊です。
著者紹介「小山 昇」とは
日経新聞や経営情報誌を読んでいる人は、知らない人がいないというほど有名な方ですね。
実践経営塾、経営セミナー、講演、書籍など経営に関する様々なところで目にしているでしょう。
それでは、この人は何をやっている人か知っていますか?
コンサルタントじゃないの?
半分正解、半分不正解です。
小山昇氏は、株式会社武蔵野の代表取締役を勤めています。
株式会社武蔵野の主な事業は、ダスキンのフランチャイズとしてクリーンサービスなどを行っている会社です。
しかし、増収増益を重ね、経営が評価され、やがて経営支援事業を展開するようになりました。
なかなか面白そうな経緯の会社ですよね。
その代表取締役小山昇氏、彼はどのような手法で株式会社武蔵野を発展させたのでしょうか。
それが、この一冊に凝縮されています。
儲かる会社は仕組みができている!
PDCAサイクルとは
そもそもPDCAサイクルとは何?というところから簡単に説明しましょう
PDCAサイクルとは業務改善のための仕組みを頭文字で表したもので
- Plan(計画):従来の実績や将来の予測などをもとにして業務計画を作成する
- Do(実施・実行):計画に沿って業務を行う
- Check(点検・評価):業務の実施が計画に沿っているかどうかを確認する
- Action(処置・改善):実施が計画に沿っていない部分を調べて処置をする
というようなものです。
多くの人は事業に関わらず、計画を立てて、実行して、採点して、改善するようなことをしているでしょう。
ただ、意識しているとしてないのでは大違いです。
何となく計画は立てて、やってみたけど微妙な結果、この辺を直してみたらいいのかなぁ
これじゃあ、ダメです。
それでは本書のPDCAサイクルを探ってみましょう。
計画はデタラメでいい
まず、PDCAサイクルのP、計画を立てるところから普通の人は始めますね。
しかし、小山氏は計画はデタラメで良いといいます。
なぜでしょうか。
その理由を以下のように述べています。
最初から完璧な計画を立てようとしても、必ず市場ニーズとのギャップは出てくる。だとすれば、最初は仮説としての計画をデタラメに立て、その仮説に基づいて実行し、結果を見てそのあとで対策を練ればいい。
計画を重要視しすぎて、分析がおろそかになる方が問題なのです。
また、新規事業などは「D」から回した方が上手くいくと述べています。
これも同様の理由からですね。
新規事業など計画を立てても予測しきれないことが多い場合には、実行してみないとわからないことがあります。
そこで、D→C→Aと回して、それから再度計画(P)を立てた方が良いでしょう。
仕方なくでもやらせる仕組みをつくる
会社である以上、PDCAサイクルは会社全体で行わなければいけません。
計画を立てて実行したところで、チェックが甘く、評価もきちんと行われなかったら機能していないのと同じです。
そこで武蔵野では、
- 「勉強会などは半期に10回以上参加しないと賞与が減る」
- 「新しい事は前回の賞与が一番多い社員がやる」
- 「チェックは必ず決められた日にチェックリストを用いて行う」
など、お金で釣ったり、強制的に持ち回りが決まるシステムとなっているようです。
この他にもやらなければいけない取り組みが、本書にはたくさん書かれています。
では、やる気の無い社員はどうなるか?
給料が減って辞めていく人も出ますが、やる気のある人はきちんと評価されて仕事も捗るわけですから辞めれても困らないようです。
PDCLAAサイクル?
ここまでで、簡単にですがPDCAサイクルをきちんと回す秘訣が少し見えてきましたか?
それでは問題です。
小山氏はPDCAサイクルは、武蔵野では「PDCLAAサイクル」だと言っています。
「L」と「A」が加えられていますが、わかりますか?
- Plan(計画)
- Do(実施・実行)
- Check(点検)
- L○○○○
- Assessment(評価)
- Action(処置・改善):
チェックを点検と評価に分けたことで「A」が一つ増えました。
さて、肝心の「L」です。
PDCAサイクルは闇雲に回せば良いものではありません。
PDCAサイクルを回しからこそ、得るものがなければいけません。
それが次の一文に凝縮されています。
一冊を凝縮したセンテンス
「PDCA」サイクルは、業務改善プロセスであると同時に、社員に「今までと同じやり方、今までと同じ考え方、今までと同じ人では、成長しない」ことを気づかせるための「学びのプロセス」でもある。
「L」が何かわかったでしょうか。
業務改善プロセスであり、社員成長プロセスでもあるから、社員のプライベートに踏み込み、泥臭く、時には熱血さも必要となってくるのですね。
単にPDCAを回しても社員は成長しないし、熱血だけだとブラック企業化や社員が離れていく。
この両方を乗せる仕組みを作り上げることとこそが、儲かる会社の作り方なのですね。
本書の最後には付録として、株式会社武蔵野の実行計画書や会議報告書のテンプレートが付いています。実際に書き込んだり、自分なりに改良してPDCAサイクルを実行してみてはいかがでしょうか。