今回も確定申告で一番身近な医療費控除の論点についてです。
よくある質問の一つが「医療費控除には通院費が含まれるのかどうか?」です。
お年寄りの中には足が悪い人もいますし、また怪我によってタクシーを使わざるを得ない人、また病気によっては遠方の病院に行かなければいけない人もいます。
この中で、どこまでが医療費の対象となるのでしょうか。
医療費控除の概要
医療費控除とは、簡単に説明すると「その年において家族を含む医療費を支払った場合には、10万円を超えた金額について所得控除をすることができる制度」です。
詳しくは前回の「ロタウイルスの予防接種は医療費控除になる?ならない?」の記事を参考にして下さい。
それでは、今回の記事のテーマである医療費控除には通院費が含まれるのかを検討していきたいと思います。
医療費の対象となる交通費
医療費控除に関する通院費については、所得税法基本通達に以下のように記載されています。
所得税基本通達73-3
医師等による診療等を受けるための通院費若しくは医師等の送迎費、入院若しくは入所の対価として支払う部屋代、食事代等の費用又は医療用器具等の購入、賃借若しくは使用のための費用で、通常必要なもの
通院費は含まれると、しっかり記載されていますね。
しかし、冒頭で述べたように通院費と一口に言ってもいろいろとあります。
いくつか例示されているので、一緒に考えてみて下さい。
遠隔地の病院への交通費
病気や怪我の内容によっては最寄りの病院では対応できないことは多々あります。
また、信頼できる専門医を探すために遠くの病院を選ぶ人も増えてきています。
その場合に、わざわざ遠隔地の病院へ診察を受ける場合も通院費は認められるのでしょうか。
正解は・・・
遠隔地の病院への通院費は、医療費控除の対象になる。
場合とならない場合があります。
原則的に、最寄りの病院で対応できない場合や専門医など正当な理由がある場合には、医療費控除の対象となります。
しかし、最寄りの病院で対応できるのに、わざわざ遠くの病院を選んだとした場合には医療費控除の対象となりません。
ただ、医療は信頼性などによっても成り立っているので、基本的には医療費控除の対象となると考えて良いでしょう。
自家用車で通院する場合のガソリン代
通院するのに「タクシーを使うのはもったいない」または「家族が運転してくれる」から、自分の車で通院する人は多くいると思います。
この場合に、タクシーの代わりなのだから通院するのにかかったガソリン代も医療費控除できるのではないか?
そう考える人も多いと思います。
正解は・・・
ガソリン代は、医療費控除の対象となりません。
国税庁のリンクを貼っておきますが、そこには以下のように書かれています。
この場合の通院費は、電車賃やバス賃などのように人的役務の提供の対価として支出されるものをいいます。
いわゆる対価をしっかりと払う必要がある、公共交通機関でなければダメということですね。
ただ、医療費控除を受けたいからと言ってタクシーを使うと、タクシー代の方がよほど高くつくのでガソリン代は諦めましょう。
付き添いのための家族の交通費
一つ前の問題とは少し変わって「家族が付き添ってくれた場合の交通費」は通院費に含めて良いのでしょうか。
家族が運転するガソリン代はダメでしたね。
正解は・・・
付き添いのための家族の交通費は、医療費控除の対象となります。
こちらは、なんと医療費控除の対象となるんですね。
理由は「公共交通機関を使っていること」と「子供など一人で通院するには危険な場合は、当然に必要なもの」と考えられるからです。
赤ちゃんは一人で通院できないので、当たり前と言えば当たり前ですね。
もちろん、赤ちゃん以外の大人でも付き添いが必要な理由があれば交通費は医療控除の対象と認められます。
リンク:患者の世話のための家族の交通費
まとめ
通院費が医療費控除の対象になるかという論点でしたが、基本的には「医療費控除の対象になる」と考えて大丈夫なようです。
タクシー代などは、実際の医療費以上にかかることもありますので、忘れずに領収書を保管して医療費控除に使うようにしましょう。