作者の森見登美彦という名前も聞いたことあるかも知れませんが、アニメ化されたのでアニメ好きの方も知っている人が多いかもしれません。
森見登美彦ってどんな人?
2003年、在学中に執筆した「太陽の塔」で第15回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、小説家デビューした作家です。
デビュー作
「太陽の塔」は以前読んだことがあるので簡単なあらすじを紹介します。
元恋人の水尾さんを「観察と研究」という名目でストーカーをしている森本という大学生が主人公。
これはモテない男のための小説で、水尾さん研究が面白おかしく進んでいくと思いきや、話は不思議な方向に進んでいきます。
読んでみないとわからない、読んでみてもわからない?森見登美彦ワールドが広がっていきます。
作家の特徴
京都大学農学部生物機能科学学科応用生命科学コースを卒業し、同大学院農学研究科修士課程修了という経歴を持ち、国立国会図書館職員との兼業作家として執筆活動を続けた後、現在は専業作家となっています。
その関係か、ほとんどの作品は京都が舞台となっています。
文体は少し古臭い言い回しを使いながらも軽妙でリズム良く進んでいきます。
また、マジックリアリズムという日常と非日常が融合したファンタジー要素を含む作品が多いのも特徴です。
書評家の大森望は対談で「京大生の実態をリアルに描くとマジックリアリズムになる」と評しており、作者の背景が大きく生かされているようです。
「有頂天家族」ってこんな小説
あらすじ
舞台は京都。狸と天狗と人間が暮らす街中で、「面白きことは良きことなり!」が口癖の狸の名門・下鴨家の三男の矢三郎を中心として織り成すドタバタ劇です。
宿敵・夷川家との対決。
矢三郎の師匠の天狗は人間の美女にうつつをぬかす落ちぶれっぷり。
狸と天狗と人間を巻き込んだ大騒動と家族愛を感じるファンタジー小説です。
魅力
森見ワールドの文体と世界観は依然として健在。
処女作の「太陽の塔」に比べて、読みやすくファンタジーな世界観が綺麗にまとまっています。
あらすじにあるように、狸と天狗と人間のドタバタ劇で、下鴨四兄弟と呼ばれる愛すべきキャラクターを筆頭に出てくるキャラクターたちは宿敵・夷川家、天狗の師匠の落ちぶれも何故か憎めません。
そして、ドタバタ劇ではなく下鴨四兄弟の父の死の謎など先の気になる展開も外せません。
小説は2007年に出版されたものの、アニメ化は2013年でした。
アニメ版はキャラクター原案は、「絶望先生」などの久米田康治で可愛らしいキャラクターが生かされています。
京都が好き!ファンタジーが好き!ほっこりしたい人や、アニメを見て原作が気になっている人は是非読んでみてください。