以前、租税特別措置法の接待交際費の意義から、接待交際費とは何か、個人事業主の経費とは何かを学びました。
結論として、個人事業主は「自分で業務の遂行上必要な付き合いである」と説明ができるならばガンガン計上してしまえ!ということになりましたね。
それでは、法人の場合の接待交際費はどのようなものなのでしょうか。
接待交際費とは?
参考:「個人事業主の交際費はいくらまで?気になる経費の落とし方」
接待交際費の意義
参考記事の復習です。
接待交際費は租税特別措置法61条の4に以下のように規定されています。
交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの
そして、福利厚生費や会議費にあたるものや、1人当たり5,000円以下の一定の飲食費が除かれています。
現行の接待交際費課税
1 中小法人以外の法人……支出する交際費等の全額が損金不算入
2 中小法人…………………支出する交際費等の額のうち年800万円を超える部分の金額が損金不算入
平成26年度税制改正では、この交際費等の損金不算入制度について、以下の点が大きく改正されました。
交際費等のうち飲食その他これに類する行為のために要する費用(社内飲食費を除きます。以下「飲食費」といいます。)であって、帳簿書類に飲食費であることについて所定の事項が記載されているもの(以下「接待飲食費」といいます。)の額の50%に相当する金額は損金の額に算入することとされました(措法61の4①④、措規21の18の4)。
一部のニュースや記事では「大企業も交際費の50%が損金に!」などと煽った記事がありますが、あくまで飲食費の50%までで、当たり前ですが旅行や贈答は含まれません。
その辺をこの後くわしく書きたいと思います。
飲食費と接待交際費の違いってなに?
社内飲食費
「社内飲食費」とは、自社の役員若しくは従業員又は親族に対する接待等のために支出するものです。なお、親会社やグループ内の他の会社の役員に対する接待は、社内飲食費に含まれません。
これらは、接待交際費よりも「会議費」「福利厚生費」に該当する事となると思います。
接待交際費に該当しない飲食費
平成18年4月1日以後開始事業年度から、1人当たり5,000円以下の飲食費で書類の保存要件を満たしているものについては、交際費等に該当しないこととされています。
したがって、これらの飲食費は「会議費」と分類したほうが便利でしょう。
接待飲食費
飲食費について法令上は、「飲食その他これに類する行為のために要する費用(社内飲食費を除きます。)」と規定されています。
事例列挙として次のものが挙げられます。
イ 自己の従業員等が得意先等を接待して飲食するための「飲食代」
ロ 飲食等のために支払うテーブルチャージ料やサービス料等
ハ 飲食等のために支払う会場費
ニ 得意先等の業務の遂行や行事の開催に際して、弁当の差入れを行うための「弁当代」(得意先等において差入れ後相応の時間内に飲食されるようなもの)
ホ 飲食店等での飲食後、その飲食店等で提供されている飲食物の持ち帰りに要する「お土産代」
得意先との飲食接待はもちろん、会場費、お土産代なども接待飲食費に含まれる点は注意です。
一方で、飲食費に該当しないものには、次のものが挙げられています。
{1} ゴルフや観劇、旅行等の催事に際しての飲食等に要する費用
{2} 接待等を行う飲食店等へ得意先等を送迎するために支出する送迎費
{3} 飲食物の詰め合わせを贈答するために要する費用
これらは飲食費以外の接待交際費に該当します。
なお、飲食等が催事とは別に単独で行われていると認められる場合を除き、ゴルフや観劇、旅行等の催事に際しての飲食等に要する費用は飲食費に該当しないこととなります。
したがって、二次会を飲食費として計上したい場合には、一次会と二次会できちっと会場や出席者を分ける必要があります。
まとめ
平成26年度の改正では、3つめの接待飲食費について50%が損金に算入することとされました。
なお、中小法人については、接待飲食費の額の50%相当額の損金算入と、従前どおりの定額控除限度額までの損金算入のいずれかを選択適用することができます
要件に注意!
1人当たり5,000円以下の飲食費、50%を損金にできる接待飲食費については、下記の要件があるので注意してください。
イ 飲食費に係る飲食等のあった年月日
ロ 飲食費に係る飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称及びその関係
ハ 飲食費の額並びにその飲食店、料理店等の名称及びその所在地
ニ その他飲食費であることを明らかにするために必要な事項
エクセルで簡単な表でも作っておくと便利です。
ここまで書いておいて実は・・・
平成24年のこちらのデータをご覧下さい。
資本金1,000万円以下の法人の交際費等支出額
法人数 1,903,458社
金額 1,472,024百万円
単純に割ると平均がでます。
1社当たり交際費支出額 773,342円
資本金1億円以下の法人の交際費等支出額
いわゆる800万円まで損金と認められる法人です。
法人数 2,219,145社
金額 2,145,316百万円
1社当たり交際費支出額 966,730円
800万円も交際費を支出する法人なんてほとんど無いという事です。
というわけで、800万円まで全額損金算入されるようになったら、中小法人は接待飲食費どころか5,000円以下の飲食費すら気にする必要はほとんど無いでしょうね・・・。