消費税

消費税の中間納付金額(予定納税)の調べ方

前回は所得税の中間納付金額について紹介しました。

中間納付の制度は、所得税だけでなく消費税にもあります。消費税の中間納付は、所得税の中間納付と違う点が数多くあります。

前年度に消費税を納めた場合、翌年度の中間納付がどうなっているのか勉強してみましょう。

中間申告書が必要な事業者

まず、基本的な事ですが、消費税率及び地方消費税率については次のようになっています。

適用時期

令和元年101日以後

令和元年9月30日以前

標準税率

軽減税率

消費税率

7.8

6.24

6.3

地方消費税率

2.2

(消費税額の22/78

1.76

(消費税額の22/78

1.7

(消費税額の17/63

合計

10.0

8.0

8.0%

そして、消費税は課税事業者を選択した事業者や基準期間の課税売上高が1,000万円を超えた事業者などには納税義務があります。

その中でも、中間申告書の提出が必要な事業者は、個人の場合は前年、法人の場合は前事業年度の消費税の年税額が48万円を超える者です。

なお、ここでいう消費税は地方消費税を含みません。

 

さて、この前事業年度の消費税とは、申告書のどこの金額を指しているかわかりますか?

上記の申告書で見る箇所は、差引税額の欄です。

一番下の納付税額では無いので注意が必要です。

したがって、当事業年度の売上が大幅に下がった場合で中間納付により還付が発生しても、差引税額が48万円を超えるようだと翌課税期間に中間納付があることもあります。

中間申告書の提出時期と納付期限

所得税と消費税の中間申告の最大の違いは、直前の課税期間の確定消費税額によって納付回数が変わることです。

税額別の表にすると下記のようになります。

直前の課税期間の確定消費税額

中間納付税額

申告の回数

納期限

48万円以下

なし

中間申告は原則不要

確定申告1

48万円超~400万円以下

直前の課税期間の確定消費税額の6/12

中間申告1

確定申告1

中間申告の対象となる課税期間の末日の翌日から2月以内

400万円超~4,800万円以下

直前の課税期間の確定消費税額の3/12

中間申告3

確定申告1

中間申告の対象となる課税期間の末日の翌日から2月以内

4,800万円超

直前の課税期間の確定消費税額の1/12

中間申告11

確定申告1

別記

11回の中間申告の申告・納付期限は、以下のとおりになります。

納付期限

個人事業者

1月から3月分 → 5月末日

4月から11月分 → 中間申告対象期間の末日の翌日から2か月以内

 

法人

 

その課税期間開始後の1月分 → その課税期間開始日から2月を経過した日から2月以内

上記1月分以後の10月分 → 中間申告対象期間の末日の翌日から2月以内

差引税額が48万円以下の場合、「原則不要」と書いてあるのは「仮決算による中間申告」という方法があるからです。

これについては、この後に記載します。

中間納付金額の算出方法

前年度実績による中間申告

中間納付税額は前課税期間の差引税額が48万円を超えた時に発生します。その時に、注意書きとして「地方消費税を含みません」と書きました。

それでは具体的にどのように中間納付金額を算出するか、簡単な事例で紹介しましょう。

課税期間が11日から1231日とわかりやすい個人事業者を例にとってみます。

全て税率10%の取引とします。

・前年の差引消費税額:100万円

・中間申告の回数と対象期間

前年の差引消費税額が100万円のため、48万円超〜400万円以下に該当し、中間申告の回数は1回となります。また、中間申告の対象期間は11日から630日までの6ヶ月です。

・中間納付金額の計算

まず、中間納付の消費税を求めます。

前年の差引消費税額100万円 × 6 ÷ 12 500,000

ここから中間納付の地方消費税額を求めます。

中間申告で納付する消費税額50万円 ×22÷78141,000

この2つを合計した金額が中間納付税額となります。

消費税及び地方消費税500,000141,000641,000

計算自体はとても簡単なので、差引税額の欄がわかっていればこのように自分でも計算することが出来ます。

これが前年度実績による中間申告です。

中間申告書のみなし申告

上記で「前年度実績による中間申告」を紹介しましたが、実際には税務署から納付書と一緒に中間納付金額が通知されてきます。

そして、多くの人は納付書の支払いだけをしているのではないでしょうか。

それは、下記のような条文に基づいているからです。

中間申告書を提出すべき事業者がその中間申告書をその提出期限までに提出しなかった場合には、その事業者については、その提出期限において、税務署長に中間申告書の提出があつたものとみなす。(法44条)

したがって、納付書と一緒に付属している申告書は提出しなくても問題ありません。

仮決算による中間申告

それでは、業績の悪化により、税務署から通知された「前年度実績による中間申告」の金額を支払うのが困難な時はどうしたら良いのでしょうか。

そのときは、「中間申告対象期間」を一課税期間とみなして仮決算を行い、それに基づいて納付すべき消費税額及び地方消費税額を計算することもできます。

これにより、資金繰りを改善し、中間納付額の金額を抑えることができるのです。

なお、仮決算により計算した税額がマイナスとなっても還付を受けることはできません。中間納付金額は0円となります。

また、仮決算を行う場合にも、簡易課税制度の適用をすることができます。

まとめ

少々長くなりましたが、これが消費税の中間納付金額の算出方法などになります。

前年度の差引税額によって納付回数が変わったり、地方消費税額の計算もあったり、所得税と比べると複雑かもしれません。

しかし、仮決算による中間申告など知っておいて損はないので、一通り覚えておきましょう。

ちなみに、中間納付も遅れてしまうと延滞税が発生するので注意してください。




-消費税

© 2023 takefive Powered by AFFINGER5