長年、税理士をしていると親子にわたって会社を見ることは、よくあります。
また、前任の税理士から引き継いだ場合などでは、「前の税理士に全部任せてたから」と先代の社長の聞き取りが難しいこともあります。
その一例として、いつ誰が相続時精算課税をしたかの問題があります。
今回は、相続時精算課税とその確認方法について紹介したいと思います。
相続時精算課税とは
相続時精算課税の制度とは、60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。
この制度には、複数年にわたり利用できる特別控除額(限度額:2,500万円)が設定されており、限度額に達するまで何度でも贈与することができます。
メリットとデメリットについては、こちらの記事をご覧ください。
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相続時精算課税のメリット・デメリット
相続対策として、贈与税の基礎控除額である年110万円までの贈与をすることは一般的ですが、もう一つ相続対策としての制度があります。 相続時精算課税です。 2,500万円まで贈与税が発生しない制度ですが、 ...
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それでは、かなり以前にした相続時精算課税について、どのように確認すればよいのでしょうか。
相続時精算課税の開示請求
概要
相続時精算課税の開示請求とは、
相続税の申告や更正の請求をしようとする者が、他の相続人等が被相続人から受けた①相続開始前3年以内の贈与又は②相続時精算課税制度適用分の贈与に係る贈与税の課税価格の合計額について開示を請求する場合の手続きです。
この手続きは、相続人が、被相続人の死亡時の住所地等を所轄する税務署に、被相続人が死亡した年の3月16日以後に請求する必要があります。
添付書類
①全部分割の場合:遺産分割協議書の写し
②遺言書がある場合:開示請求者及び開示対象者に関する遺言書の写し
③上記以外の場合:開示請求者及び開示対象者に係る戸籍の謄(抄)本
なお、送付による受領を希望される場合は、上記添付書類のほか、開示請求者の住民票の写し及び返信用の封筒に切手を貼ったものを添付してください。
[手続名]贈与税の申告内容の開示請求手続
注意点
この開示請求の手続きには一つ問題があります。
開示される内容は、開示対象者全員の合計額となるため、誰がいくら貰ったかまでは分かりません。
そのため、請求者は自身の贈与時期や贈与財産を確認することはできません。
請求者が自身の申告書に記載された贈与時期や贈与財産を確認するためには、申告書等閲覧サービス、或いは個人情報開示請求という手続きをすることになります。
平成15年以降又は請求者の年齢が20歳以降の年分についてこれらの手続きをすれば漏れなく確認することができます。
ただし、どちらも申告した年がわからないと請求できません。
相続の時に揉めないためにも、自身の確定申告書は無くさないように保管してください。税理士からのお願いでした。