日経新聞、十字路よリ「花粉症対策 まず林業政策転換を」という記事に注目。
各地で豪雨による土砂災害が起きている。山林が適正に管理されていないため事態が悪化しているとしたら人災である。政府は、木材自給率向上とか林業成長論を唱え、伐採を推進してきた。5月末には花粉の発生量を減少させるためスギをさらに伐採することを決定した。しかし、伐採された後の7割の山は植林されずに放置されている。
ここからは有料版となるが、ざっとまとめると以下のような内容だ。
・木材価格は、丸太価格から伐採、運搬コストを引いたもの
・政府は伐採業者に高性能機械導入の補助
・しかし、供給だけが増え、立木価格は逆に低下
この記事では、森林所有者の収益増加のために、面積あたりいくらで直接支払うべきと結論付けている。
林業の問題で難しいのは、「人材が足りない」「需要が増えない」「需要がなくても放置できない」という問題を抱えていることがあると思う。
関連記事を遡ると、林業従事者は20年に4.4万人であり、30年前の半分しかいないという。また、政府が進めるスギの伐採に関しても、住宅のスギを含む国産材の利用比率は、柱材・面材で3割、横架材で1割ほどである。
コスト面に課しては「信州大学など、林業コスト低減へ立ち木デジタル管理」という関連記事より、ドローンによる効率的なデータ管理や測定、それを利用したMR(複合現実)のゴーグル型端末による植栽や伐採などの研究が進んでいるとある。
つまり、需要が増えても海外木材の方が安ければ意味がないし、コスト削減が進んでも需要がなければ意味がない。
林業に関しては、需要とコスト削減が同時に急務となっているのだ。
使い捨てストローが紙に変わるのは紙っぽさが残って不評だし、なかなか需要を創出するのも難しい。
例えば、車の補助金のように国産材を多用した建築に補助金を出すとか、建て替え需要を創出させるのはどうだろうか。他にも需要を創出できそうなら、木材利用にも起業のチャンスが眠っているかもしれない。
国土の67%が森林と言われている日本で、今後、林業が廃れてしまうのは花粉症対策のためだけでなく水害や土砂崩れなど日本を守るためにも急務なのである。