前回は、順調に成長している安全性の高い銘柄の投資基準を紹介しました。
出来るだけ赤字や倒産など急激な暴落のない堅実な銘柄に投資し、株価の上昇を見守るのが投資のポイントです。
それでは、ここ数年で僕が投資した銘柄を実際に紹介して、実例を見ていきましょう。
事例紹介
ハウス食品
まず、エクセルでこんな感じの表を作ります。
2012年4月8日に作成し、5月8日の決算発表で書き加えました。
これを見て気が付く事がいくつかあります。
- 2007年~2009年までBPSが減少している
- 2007年と2008年では高値安値PBRともに大きく差がある
- 2009年~2013年までEPSは全てプラス推移
以上を踏まえて、売買の有無と高値と安値を探ります。
まず、11年と12年でEPSが1.5倍増となっています。
EPSの増減と株価の推移は関係性があり、長期的な推移を見ることでより関係性が際立つとされています。
EPSの大幅上昇により、12年後半から株価が上昇する傾向と考えられます。
予想株価を探ろう!(買い)
過去5年安値PBRの平均0.736×13年BPS1,879=1,383円
もしくは
過去6年安値PBRの平均0.783×13年BPS1,879=1,471円
概ね1,400円が下値のメドと考えます。
個人的には下値で買う価格をきっちり決めるよりは複数回にわけて買うために幅を持たせた方が良いと思います。
結果、2013年は6月7日に1,430円の底値を付けます。
実際には6月6日に購入することができました。
予想株価を探ろう!(売り)
同様に高値のメドを探ります。
過去5年高値PBRの平均0.886×13年BPS1,879=1,670円
しかし、EPSが1.5倍になっていることを考えると、過去5年の推移よりも一段ステップアップしている可能性は十分にあります。
これは安値の時にも言えます。
EPSが大きく増加した場合は、それに伴って株価も上昇しやすいため、過去の平均より少し色を付けた方が良いでしょう。
2007年の1.25には届かないにしても、2009年の1に達する可能性は十分にあります。
そうすると予想高値のメドは1,879円になるでしょう。
ちなみに2013年の高値は1,722円、2014年は2,010円まで達しています。
売りのタイミングは四半期ごとに決算発表があるので、それぞれ途中経過を表に加えて計算してください。
富士フイルム
- 2007年~2009年にかけてPBRの大幅な変動がある
- 2011年に赤字からV字回復も2012年に落ち込む
- 2013年にはEPSが1.24倍
EPSは株価と関係性があると言いますが、株価の方が1年ほど遅れているように見えます。
2012年まで高値はどんどん低くなっていますが、2011年の回復から3期連続で赤字脱却と安定したEPSを見せているため、そろそろ株価は上昇に切り替わると推測できます。
予想株価を探ろう!(買い)
過去5年安値PBRの平均0.486×13年BPS3,878.46=1,884円
株価は4月の中旬まで1,800円前後で推移していたものの、中旬以降から2,000円に切り上がりこの時点で既に上昇の兆しを見せていました。
5月には2,634円まで一気に上昇。
当初は買いを見送りましたが、6月に再び2,000円まで下がったため、少々タイミングがズレましたがここで買いを入れました。
予想株価を探ろう!(売り)
過去5年高値PBRの平均0.904×13年BPS3,878.46=3,506円
2014年8月、高値は3,299円まで株価は達しました。
2012年を除き高値は毎年3,000円以上まで達しているので、EPSがプラスになり順調に推移していることを見れば2013年の時点で将来的に3,000円台の戻りは十分予想できました。
ちなみに2015年の最高値は順調に推移して5,293円です。
まとめ
これが私の考えた安全性を重視した銘柄選択術です。
株価を正確に的中することが不可能なのは誰しも知っているでしょう。
しかし、過去数年を財務分析することで一定の推移を予測することは可能なのです。
これに企業の将来性や技術力や成長分野なども勘案して、自分の投資したい銘柄を是非探してみてください。
EPSと株価の推移などの研究結果は、こちらの書籍を参考にしました。
めまぐるしく変わる経済状態によりあまり意味の無い分析という人もいますが、私は過去の傾向を分析するというのは大切なことだと思います。