事業プランは浮かぶけどお金が無い。
とりあえず、事業を始めてみたいけど副業レベルからが良い。
プランも資金も目処がついてきちんと事業を興したい。
様々な人がいると思いますが、個人事業主で開業するのと法人設立により開業するのでは、どう違うのでしょうか。
法人の設立に必要なこと
法人を設立する前に、法人の場合にはその形態を決める必要があります。
会社には株式会社、合名会社、合資会社、合同会社(LLC)があります。その他、組合や一般社団法人などの事業形態もあります。
ここでは、もっとも設立件数の多い株式会社のみに焦点を当てて、後日に合同会社なども取り上げたいと思います。
株式会社の特徴
法人格 あり
株主と出資額 1名以上、1円以上
責任の範囲 出資の限度で責任を負う
利益配当 出資の割合に応じた配当が可能
役員 取締役1名以上
設立の手続き
1.会社を設立する発起人
発起人とは、会社の設立をし、定款の作成をする者を言います。
1人でも複数でも構いません。また、自然人のほか法人もなることが出来ます。
発起人は、設立に際して発行される株式を必ず1株以上引き受ける必要があります。
引き受け後は、出資に係る金銭全額の払い込みしなければならないため、出資される財産が1円以上である必要があるのです。
2.会社の基本事項を決める
発起人は、事業内容、会社名、本店所在地などを決定します。
3.印鑑登録
発起人や取締役、そして法人にも実印が必要となります。
参考:「印鑑を買うなら象牙?柘植?チタン?知っておきたい材質の特徴」
4.定款を作成する
定款には、次の項目を記載し公証役場にて認証を受けなければなりません。
・絶対的記載事項
この記載がないと定款は無効となります。
①目的
②商号
③本店の所在地
④設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
⑤発起人の氏名又は名称及び住所
・相対的記載事項
定款が無効にはなりませんが、記載がないとその効力が認められないものです。
①現物出資
②取締役会、監査役等の設置
③株券の発行
④株式の譲渡制限
⑤相続人等に対する株式の売渡請求
⑥取締役選任についての累積投票の排除
⑦取締役及び監査役の任期の伸長
・任意的記載事項
株主総会決議などで定めても効力が生じるが、定款で定めても良い事項です。
①株券の不発行
②定時株主総会の開催時期
③議決権の代理行使
④取締役及び監査役の員数
⑤代表取締役
⑥事業年度に関する定め
⑦配当金支払義務の除斥期間
定款の記載事項や後で変更をすることになると面倒なことも多いので、作成は専門家に頼るのも良いかもしれませんね。
5.出資金払込口座に出資金を払い込む
発起人は設立登記を行う前に、引き受けた株式の発行価額の全額を払い込む必要があります。
そして、払い込んだことを証明するために払込証明書を作成します。
6.設立登記の申請を行う
本店所在地を管轄する法務局に設立登記をすることで株式会社として成立します。
7.各種届出を行う
必要な届出と費用については、次の項目をご覧下さい。
設立に関する届出
1.法人設立届出書
提出期限:会社設立の日から2月以内
提出先:納税地を所轄する税務署
参考:「内国普通法人等の設立の届出」
(国税庁のサイトです。用紙のダウンロードができます)
都道府県税事務所にも同様の届出書を提出する必要があります。
2.青色申告の承認申請書
提出期限:設立の日から3月を経過した日と、設立第1期事業年度終了の日とのうちいずれか早い日の前日
提出先:納税地を所轄する税務署
参考:「青色申告書の承認の申請」
(国税庁のサイトです。用紙のダウンロードができます)
3.その他
飲食業や建設業については、各種許認可の届出が必要なこともあります。
自分の開業する業種により異なりますので確認しましょう。
また、一定の場合には消費税の課税事業者として届出が必要であったり、社会保険関係の手続書類が必要となります。今後、別ページにまとめる予定です。
設立にかかる費用
設立に際してかかる費用には以下のようなものがあります。
・定款の認証手数料:5万円
・定款に貼る収入印紙代:4万円(電子定款の場合は不要)
・定款の謄本交付手数料:定款1枚あたり250円
・登記の際の登録免許税:15万円(資本金額×0.7%)
その他、代表者印作成代や印鑑登録証明書代などがかかります。
なお、電子定款を作成できる場合には4万円はかかりませんが、専門家に依頼することになるため結局は20~25万円は想定しなければなりません。
会計事務所だと税務の顧問契約と同時という条件で、実質無料で受け付けてくれるところもあるみたいですね。
法人のメリットとデメリット
開業にかかる手間 多い
開業にかかる費用 多い
社会保険加入義務 社長一人でもあり
税務申告・会計処理 難しい
節税する方法 多い
ざっくりといえば、規模を大きくする場合には将来的な節税方法などを考えると法人の方が良いと思います。
一方、設立費用や手間は多少かかるので、副業として気軽に始めるには面倒でしょう。
ただ、自分で出来ないことでも無いので、手間や時間がかけられるなら自分で設立手続きをしてみても良い経験になるかもしれませんね。